吐く息も白くなり ああ、今年も冬がやってきたのかと どんよりと曇る空を仰いだ。 大きな背中を丸くして 前が見えないくらいに ぐるぐるにマフラーを巻いて 寒さに苦しむその姿を見て くすくす笑うわたしの手を引っぱる彼は もうここにはいない。 潤んで歪む世界から 目を背けたくて目を閉じた。 「はやく帰ろう、ユウ」 もう一度、そう呼んで・・・