「〜〜〜!清々しい朝だ」

高校に登校するため、家の玄関を出た後の第一声がこれだった。
太陽の光がさんさんと降り注ぐなか、俺は太陽を手のひらで隠す。
夏至に入ったからか、少しばかり暑いがその代わり吹く風は妙に気持ちいい。おそらくかいた汗が服に染み、そこに風が当たるからだろう。
何故こうなるのかは分からない。

「っと、だいぶ時間くっちまったけど、大丈夫か……?」

俺は恐る恐る腕時計に目をやった。結果はまだ全然早い時間帯。
まだホームルーム開始まで正確に30分あるのを知った途端、俺は期待に胸が膨らんだ。

何にって?それは後で分かる。

俺は口角をニッと上げると高校の方角とは真反対に踵を返し、いつもどおりの“遠回り”を始めた。