いきなり私の腕を掴み走り出した。 黒のスポーツバックを揺らして走る彼。 背が高くて、横顔がとても綺麗で見入ってしまった… 彼が指で示す先には、大きな虹が掛かっていた…―― 七色の綺麗な虹――― 学校からどんどん離れて走っていく… 「ちょっと、入学式は?」 今日、学校に来ているのは一年生だけだ。 同じ制服だから、同じ一年生に違いない。 『そんなのいーって! それより虹、追いかけよ! 』 私の言葉に危機感を持たずに、私の腕を引っ張り走り続ける…