虹をみつめて…。




「ありがと…」




絆創膏を貼り終わり、やっと深くベンチに腰を下ろした。


ほっとけないな…


目を離したらふらふらとどこかへ行ってしまいそうだ。




「人混み…苦手なのに今日はごめんね。」


『別に。気にしてない。』




するとそっと頭を俺の肩に預けてきた奈々…


そんな事したらせっかく巻いた髪が台無しになるのに。




「私に甘えてよ…」


『はっ?』




勢いよく立ち上がり、俺の前に立つ奈々。


右手でりんご飴を握り締めている…




「私が甘えてばっかじゃん…」


『えっ!?
ちょっ、泣くなよ…』




見る見るうちに地面に涙を落とす奈々…


ばか。


お前の涙なんか見たくないのに。


ゆっくり泣き続ける奈々を優しく抱きしめた…



『悪かった…』


「碧斗のばか!」


『わかったって…』




ったく、甘えるにせよあんな人混みでできるか!


俺だってそりゃ…甘えたいけど。




「罰として私にキスしなさい」


『またかよ…』


「またって何よ!
私とのキス…嫌なの!?」




ゆっくり奈々を見ると涙はなくなり、今度は怒っていた。


あーもう。


怒る顔も可愛くてしかたない…


自然と笑ってしまう…




「なによ?」


『あーごめんって!
するから待てって』




笑いを抑え、深呼吸する…


奈々…


今は俺をぐいぐい引っ張って行くけど、次は俺が引っ張るから…


覚悟しとけよ。


目を閉じて待っている奈々の唇に軽くキスをして離れる。




「えっ!?終わり?」


『終わり』


「えー!!ありえない!」


『また今度な』




笑った顔も怒った顔も、泣く顔も甘える顔も…


ずっと近くで見ていたい。




-碧斗 side end-