さあ、最初の難門だ。
昼に下見はしたし、何度もベランダの柵を乗り越えているから出来るはず。
手すりに手を置き、飛んで乗り越える。
手探りならぬ足探りで足場を探し、バランスがとれたところで道に降りた。
家を振り返る。
明かりもついてなかったし、静まり返っていた。
安心してゲートへ歩き出す。
次が最後の難門だと私の中では思っている。
ゲートを開くとき、錆びているのか『キー』と高い音がするのだ。
ま、手動だからゆっくりやったら鳴らないはず…だよね。
『カチャ』
カギを開けて、ゲートを引く。
『キ…キ…キー』
しまったー!!!
鳴ってしまったよどうしよう!?
まてまて落ち着け。
ここには何人もの人が住んでいるんだ。
別に真夜中から明け方に外に出ていく人がいてもおかしくないだろう。
そうだよ、別にヘンじゃない。
大丈夫大丈夫、落ち着け私。
わずかに人1人入れるだけの隙間を作り、身を滑り込ませて外に出た。