あの日、改札を挟んであたしは振り返って、君を見つめた。
君はなんだよって笑って手を振ったね。
その笑顔に、あたしも笑顔になって安心して帰ったの。少し寂しかったけど、帰ったの。
大好きだったなぁ。本当に。
大好きだったんだよ。本当に。
あたしはもう一度、あの日のように振り返る。
すると、駅の外の自転車置き場に数人の男子がいつの間にかいた。
遠いから、顔ははっきり見えない。
あの中に、君がいたりして。
………なんてね。
奇跡は、信じないんだってば。
あたしはふっと笑って、
ゆっくりとホームに繋がる階段を降りた。