早朝から始まった撮影は順調で、外での撮影で心配だった雨も予報通り降らずに終われそうだった。
昨夜、あんなに乱れた彼女はまるでそんなことは無かったかのような清純さで、今日も白いシャツがよく似合っている。
ファインダー越しにある細い身体を今すぐ引き寄せて押し倒したい。キスしたい。
「晶ちゃん、キスしたい」
シャッター音が鳴り響く。
今日の晶は今まで以上に人の話を聞かない。人が喋ってても関係なく撮りまくる。周りのスタッフがクスクスと笑っているのが聞こえる。
「晶が無視するから笑われてるよ」
「ナツがくだらないこと言うからでしょ」
「くだらなくない、本能」
「はい、じゃあ立って」
本当に人の話聞かねーな。黙って立ち上がる俺とは対照的に彼女はカメラを持ったまま寝そべった。
上からカメラを覗き込むように首を曲げると仰向けになった晶と目が合う。
汚れてしまうことも気にしないで髪に背を預けると手を伸ばして俺の髪を少し調整する。
「かっこいい?」
「うん、いちばん」
「もうちょい心込めてよ」
「あ、今のいい」
振られっぱなしの撮影は彼女がようやく納得がいったようで、一度カメラチェックに入る。
モニターに映り込むそれを晶は頷きながら次々と確認していきこれで、と決めた。
ここでの撮影は終了。次のロケ場所へと向かおうとしたところでスタッフが声をあげた。
「次の撮影地変更になりまーす!」

