たぶん、俺史上一番時間をかけていると思うこの時間。
「晶ちゃん、力抜いて」
「……どうやって?」
「ふーって息吐いてみて」
「ふー、やっ!」
力が抜けた身体をどんどん解きほぐして、急速に加速する甘い激情に停止信号を鳴らすような理性はとうに弾け飛んでいる。
いったいどのくらいの時間が過ぎただろう、たっぷりと、丹念に、しつこいくらいに幾度となく彼女の涙声の混じる可愛い声を聞いて、ようやく身体を解放した。
まだまだこれからだというのに既にくたっと、疲れた様子でよほど体力がないのだろうか。いや、そんなことはない。カメラマンの時の晶は底無しの体力を持ち、不眠不休で動き回る。
「もう疲れた?」
「……なんか、すごくドキドキして、何百メートルも走った気分」
熱い息を滲ませながらシーツを引き寄せ、往生際悪く身体を隠した彼女は顔の半分を隠して、茶色い双眼だけを覗かせる。
なんだそれ。可愛すぎる。これを天然でやっているところがまたタチが悪い。
「今のウォーミングアップね」
「……きつくないですか」
「ないない」
「まだ走るの?」
本当に心配しているようで、体力もたないかも、と不安げに眉尻が下がるのがまた可愛い。ああもう、可愛いすぎる。
「もう走んないよ」
「ほんと?」
「ん、あとは気持ちよくなるだけ」
「それって、わっ!」
シーツを奪いとってまだまだ熱の冷めない身体を組み敷く。しっかり彼女の足の間に入り込んで、もう逃げられないようにしてしまう。
俺もなかなかサディストなのだろうか。
今までは、ただお互いの欲を満たすためだけに行う行為だったはず。相手をどうにかしやりたいなんて感情は特に持ち合わせていなかった。ある意味、淡白だったのだろうか。
しかし晶となれば話は別。彼女に苦痛を与えることは心底嫌だけども、眉根を寄せるその表情にはたまらなく燃える。

