「じゃあまた明日。モニコする?」
「んーん、大丈夫」
「そ、お疲れ様でした」
「はーいお疲れ様でした」
マンションの数メートル前のコンビニに止まった車から降り、安藤さんと別れる。いつのまにか晶の車は見えなくなり、きっとあっちも何処かに寄ってるんだろう。
店内に入り、車の中に置いてあったキャップを目深に被りながら向かう先は菓子類の棚。
カゴを床に置き、とりあえず手当たり次第目に付いた菓子を入れていく。
チョコやスナック菓子でカゴの中身が埋まり始めた時、隣に人が来た。
「え、ナツなにそれ」
「晶じゃん、お帰り」
「あ、うん、ただいま」
こちらも先ほどはなかったキャップを被った晶が床に置かれたカゴを見て目を見開いてある。驚愕と、やばい奴を見る目である。
カゴを見て、俺を見て、カゴを見て、俺を見る。
「ごめんね私気づかないうちにストレス与えてた?」
「は?」
「ストレスでやけ食いかなって、もしそうならごめん」
「違うわ」
半分冗談、半分本気で思っていたのだろう少しホッとした顔をするもんだから軽く頭をぺしっと叩いてやった。
「明日車の中で晶と食べよーって思ってさ」
「…そうだったんだ。ありがとう」
「量は多い方がいいかなって思って」
「うん、そっか。遠足みたいだね」
そう言った晶の手の中には栄養ドリンクが3本だけで、嫌な予感しかしない。
「それ今日のご飯とか言うなよ」
「………ご飯」
「明日の荷造りさっさと済ませて俺の部屋来い」
「え、なんで」
「いいから。来るまで寝ないで待ってるから」
「えー…強引だなぁ」
「そんな俺も好きなくせに」
晶がへらっと遇らうように笑うのさっさと会話ん切り上げて彼女が手に持つ栄養ドリンクを掻っ攫ってカゴにぶち込む。
「あと買うもんないの?」
「あ、オレンジジュース欲しい」
「ん」
それらをレジに持っていきモタモタと財布を出そうとする晶を横目にカードで支払い、晶からお礼を言われさっさとマンションに帰る。
「ナツ、ごめんね後でお金払うよ」
「いいって。俺そこそこ売れてるモデルだから」
「それとこれとは違うの」
うん。晶のこういう真面目なところがとても好きだ。

