「お疲れ様でしたー!」



服を数回着替えて時刻は既に夜の11時を回った頃、ようやく2日目の撮影が終了した。


そんな時間だというのにスタッフ一同が清々しい顔をしているのは、本日の撮影の撮れ高のおかげである。


最後、バスルームでの撮影に挑み俺も晶もびしょ濡れになった。最後に一枚、シャッター音が聞こえカメラから顔を上げた彼女は神妙な面持ちで写真を確認しに行く。


そして、写真をみてプツリと糸が切れたようにしゃがみこむ。数秒前までの顔とは違い、ふんわりと笑う。



「うん。今日で撮りきれたので、後はロケ撮でいいと思います」



その声にスタジオの端々からお疲れ様でしたと声がかかる。


3日間のうちの2日で終えることができた。本来のスケジュール通りにいけばスタジオ撮影の翌日にはすぐに軽井沢に飛んでロケ撮。


弾丸スケジュールでスタッフの疲労が伺えていたそれが、ここに来て明日の1日オフ。



「晶さんありがとうございます!」



口々にそう言うスタッフに晶はいやいや、と首を振る。



「皆さんが迅速に対応してくださって何もトラブルが起きないで進んだから、こちらこそありがとうございます」



ジーンズが水分を吸い、シャワーを浴びたシャツが身体に張り付いてるというのに気にもしないでそうスタッフに声をかけた彼女。


バスタブから出た俺はびしょ濡れになった衣装をそこである程度脱ぐと裸足のまま晶の元へ。



「晶、俺らは先にシャワー浴びて着替えよう」

「うん、南月さんお疲れさま」

「晶もお疲れ様」



よほど出来が良いのだろうか。晶は嬉しそうに笑う。


もう少し余韻を楽しみたかったが
挨拶もそこそこにすぐにバスタオルを持ったスタッフが俺たちを取り囲んで別々の楽屋へと連行された。