悪趣味な女だな。と思ったし、晶の中で俺への好きが増えて嬉しいとも思った。
そして何より、何かヤバイ。俺今晶に誘われたら襲う自信あるってくらいに熱にヤラれてる。
「じゃあいつも怒っていようか?」
「やだ、南月さん怒ると怖そう」
「怖いよ。晶のこと家から出してあげない」
「それって結構怖いね」
またパシャリと撮られる。
「晶、後で一緒にシャワー浴びよ」
「セクハラしか言わないの?」
「だって、仕事したらご褒美欲しいじゃん」
「ね、もっかいあきらって言って」
「………あきら」
また撮られる。俺の話聞いてんのかな。それとも意図的なのか、行き場のない熱が吐息になる。俺のこと、からかって遊んでる?だとしたら随分悪い女になったもんだ。
「南月さんそこに寝転がって」
白い布が敷かれた床に指示通り寝転がれば、細い指が顔にかかる髪を調節する。
「上、失礼します」
スキニーの足に跨がれて、晶の顔が逆さまに映る。下からみても可愛いなんて卑怯じゃないだろうか。
カメラを構えた小さな顔、眉、ピントを合わせるために細められた片目、朱色の唇。今すぐ全てを奪い尽くしたい思いを、冷静な顔して隠した。
それでもどれをとっても愛おしくて、思わず手を伸ばした。
その手を、晶が迷うことなく掴んだ。
シャッター音と床に寝ているせいか響く人の動く音に耳を傾けて、視線はどこか彷徨う。
カメラを見れば繋いだ手にきゅっと、力が入った。
だからその指先を親指で撫でる。愛おしい、愛おしい、愛おしい。馬鹿みたいに愛情が漏れて、一瞬仕事を忘れてしまっていた。
カメラを外した晶が困った顔をしている。
「ナツ、そんな顔みんなに見せちゃだめ」
「どんな顔だった?」
「………変態の顔」
ぐっと力が手にかかり、身体を持ち上げようとしていることを理解し上半身をあげる。
「ごめんねいっぱい汚しちゃって、シャワー早く行こっか」
「晶も一緒に?」
「違います」
タオルを持って顔を拭いてくれた彼女は、写真のチェックに呼ばれモニターまで行く。
シャワーを浴びるべく台車へと運ばれた俺がスタジオを出る際に見た晶の横顔。
「勿体無いなぁ、全部いい」
モニターに映る写真をみて呟く彼女がまるで恋をしているように見えたのは、都合のいい男の錯覚に違いない。

