ーーーそっと抱え直して、音を立てぬ様に開けたドア。


乱雑に脱ぐほか仕方ない靴は隅にささっと追いやり、彼女がよく履いているスニーカーをそっと脱がして隣に並べた。



自動ライトが照らす廊下を進み、何の迷いもなく寝室へと運ぶ。


何度ここで彼女は朝を迎えたのか。数え切れないそれに苦笑を浮かべ、警戒心の弱さに危惧の念を抱く。


寝苦しそうな上着を脱がせると、小さな寝息を立てる。危うさを感じる呼吸はやめてほしいものだ。


そして、いつものように自らのベッドに寝かせ、寒がりな彼女のために毛布を1枚追加してからそこを出た。



「あーあ、寝顔は俺のもんなのになー」



笑顔は手に入らない。




晶が好きなジュースまだあるかな。なかったらすぐ帰られるから買っておこう。