「ナツ、だめだよ」
「なんで?前だって隣に住んでたじゃん」
「いつ撮られるかわからない。ナツがせっかく頑張ってきたことが水の泡になる」
「大丈夫だよ」
「大丈夫じゃないよ」
人の目につくから、と晶の部屋に入れてくれたリビングで立ちながら言い合う。
「俺だって撮られてる。女と寝た後なんて何回も」
「それとこれとは違う」
「違くない、俺のイメージは不良で遊んでてスキャンダルしかない」
「そんなことないよ」
「今更噂が出たところで、話題が増えて写真集が売れるだけだよ」
晶は一瞬瞳を揺らし、黙った。
「そっか」
俺の嫌いな微笑みを見せて、何か飲む?とキッチンへ行った。
「晶」
俺の声には振り向かない。
「晶」
「………なに」
「何か、気に触ることいった?」
揺れた瞳と目が合う。晶はふぅと顔を逸らすとぶっきらぼうに言い放った。
「ナツうるさい」
優等生の晶はどこにいったのか。
でも、俺はその反応が嬉しくてたまらなかった。晶の心がここにあるということが認識できて、ぐっと開いていた溝が少しだけ埋まった気がした。
「晶」
「うるさいってば」
「あーきーらー」
「ナツ、もう帰って」
「晶、ご飯なにたべたい?」
「普通に会話しないで」
もう、と怒った顔も可愛くて、俺はいい加減自分の中のそれを認めざるおえないところまで来ていた。
晶が好きだ。

