中学2年の頃だろうか、俺は学校に行かなくなった。

晶のおかげで頭だけはよかった俺はテストの時だけ参加し後はだらだらと遊んで過ごすようになった。

両親は寛大で、第二次反抗期だと放って置いてくれていた。


その頃から、俺は周りから羨ましがられる容姿なんだと認識しはじめた。晶同様に、馬鹿みたいにモテ始めた。


中学3年生の頃、同級生の女子と初めての経験をした。


大人に片足突っ込んだ気がして、嬉しかった。いつも一歩先の晶に追いつけたような気がした。


口の軽い中学生はペラペラと情事を喋り、あっという間に学年中に広まった。

もちろんそれは晶にも広まっていただろうと思うけれど、当たり前になんの反応もなく。

たまに目が合えばお手本のような微笑みを送られた。


俺が嫌いな、笑い方だった。


中学三年生。受験勉強にみんなが勤しむ中、俺は安全圏でいけるそこそこの高校を選び、あっさりと進学が決まった。


同時期に、晶も進学が決まったと人づてに聞いた。有名な進学校だそうで大学までエスカレーターだと聞き、どこか絶望感を抱いたことを覚えている。



卒業式の日、ボタンを全部剥ぎ取られだらしなく前を開けたままぼーっと帰路を歩く俺の後ろから、パタパタと足音がしたので振り返ると、馬鹿みたいに泣いている晶がいた。


晶は、俺の真横を通り過ぎると走って大通りの方に抜けていった。


彼女もまた、ブレザーのボタンを取られたのだろうか、リボンなく、まだ寒いというのに前を開けたまま走っていた。



「おい、あきっ…」



一瞬、足がもつれたがすぐに立て直し彼女は向かっていった。大学病院に。


俺は、ストーカーよろしく追いかけた。