晶は一気に大人の階段を駆け上がっていったような気がした。身長も伸びたし、顔つきも綺麗になったし身体も変わっていった。


セーラー服ではなかったことが唯一惜しまれる点ではあるが、ブレザーの制服でも、彼女は群を抜いて綺麗だった。


洗練された空気を常に纏わせた雰囲気でで、優等生。

素直で、純粋で、人の悪口なんて言ってる様子なんて見たこともない。


多感な時期である中学生だ。1番素敵な子を好きになるのは当たり前のことで、晶は馬鹿みたいにモテた。


みんながみんな晶が好きだった。


俺は、疎外感のようなものを感じ、晶と帰路を一緒にすることがなくなった。



「晶、これ図書室に忘れてただろ」

「ありがとう、なくて困ってたの」



晶、と呼べることが嬉しかった。しかし同年代の嫉妬と好奇心特有のからかいを受け、名前を呼ばなくなった。



「ナツ、宿題やった?」

「やったよ、俺頭いいから」

「そっか、そうだよね」



俺の家に来ることもなくなった。隣の家なのに、ほとんど会うこともなくなった。学校で顔を合わせても会話もなくなった。


「晶ちゃんのお母さんがね」



リビングで父と母が小さな声で話しているのが聞こえたが、聞こえないふりをして耳をふさいだ。