あなたが好き。















『三大貴公子』たちは通り過ぎ、周りの女子たちは自分の教室へと帰って行った。




「あたしたちも教室行こっか」



「うん!」




2年A組の教室に着くと、中からは生徒たちの声が聞こえてくる。
…緊張する。
この扉の向こうには、あの人がいる。
やっと会える。
でも、もうあたしのことは忘れてしまったかもしれない。
いくら幼馴染みだからといって、ずっと覚えててくれるとは限らない。




「麗、入らないの?」



奈々は不思議そうに、あたしの顔を覗き込んだ。




「…入るね!」



勢いよく扉を開ける。
生徒たちはあたしたちに注目した。




「麗と奈々じゃん!よろしく〜」



「今年もよろしくね!麗、奈々!!」



友達があたしたちの方へ駆け寄って来てくれた。




「うん!よろしくね!」



「このクラス超楽しそうなんだけど〜」



あたしもそう思った。
このクラスは仲の良い子も多いし、奈々も一緒。

それに…
あたしは、あの人を探した。
…まだ来てないのかな?




「…麗?誰か探してるの?」



「…えっ⁉︎う、ううん!何でもないよ!」




そのとき、後ろの扉が開く音が聞こえた。