「…麗!」
大きな声で名前を呼ばれ、咄嗟に振り向く。
「明日…い、一緒に学校行かね?」
…えっ?
い、今なんて…?
一緒に…学校に…行く…⁉︎
あたしは嬉しくて声を上げそうになった。
「行く!」
「…じゃあ、8時に迎えに行くわ。つっても、隣だけど」
「うん!寝坊しないでね!」
「お前こそな」
「また明日ね」
「おう」
あたしは、篤人に笑顔で手を振った。
篤人も笑顔だった。
…嬉しい。
明日もまた2人で並んで歩くことができるんだ…!
明日が待ち遠しいなぁ…!
篤人が少しでもあたしを意識してくれるように頑張ろっと!
今はまだあたしのこと好きになれなくても、少しずつあたしが篤人を好きにさせていけばいい。
でも、大切な物を失おうとしていることにあたしはまだ気づいていなかった。

