すると、篤人はあたしを引き離した。
そして、あたしのおでこと自分のおでこに手を当てた。
「んー、熱はねぇな」
「…篤人」
ようやく顔の熱が引いてきたと思ったのに、今のでまた上がってしまった。
…篤人のバカ。
「…お前、そんな顔するなよ」
「へっ?」
篤人の顔を見ると、腕で自分の顔を隠していた。
…この行動は恥ずかしがっているサイン。
…でも、あたしどんな顔してた?
「…あたし、なんか変だった?」
「違ぇよ!…バカ」
「えぇ⁉︎なんであたしがバカ呼ばわれされなきゃなんないのー⁉︎」
「うっせ!お前ってほんとに鈍感だよな」
「鈍感じゃないよー!」
「…もう遅ぇから早く家入れよ」
「…言われなくても入るよ」
…結局あたしたちってこうなるんだよねー。
最初はいい感じのムードでも、すぐにお互いがブチ壊す。
…やっぱり、片思いなのかな?
あたしは家のドアノブに手を掛ける。
明日になればまた会える。
…でも、明日もまたこうやって2人きりなれるとは限らない。
だから、こんなにも離れたくないんだ。
「風邪引くなよ」
「バカだから風邪引かないんですー」
「認めたのかよ」
「…明日も会える?」
あたしは篤人の方へ向いた。
篤人は真っ直ぐにあたしを見ている。
「当たり前じゃん」
「そうだよね。…おやすみ!」
あたしは、そう言って勢いよくドアを開けようとした。

