「…帰るか」




篤人は、あたしが落ち着くまでずっと抱き締めていてくれた。
…そんなに優しくされるともっと好きになっちゃうじゃん。





「…うん」




ずっとこのままで居たかったけど、帰りたくないなんて言えない…



あたしと篤人は家に帰ることにした。
子供の頃の話などしていたら、すぐに家に着いてしまった。
…名残惜しいなぁ。





「…もう、着いちゃったね」




「また明日会えるだろ」




「分かってるけど…」




あたしはまだ一緒に居たい。
でも、篤人はあたしと同じ気持ちじゃないかもしれない…




すると、篤人はあたしの頭をクシャッと撫でた。
その瞬間、顔がポッと赤くなるのが分かった。
…突然すぎるよー!




「家隣なんだし、なんかあったらいつでも俺に頼れよ?」





「…うん。ありがとう」





あたしは篤人のブレザーの裾を掴んだ。
そして、頭を篤人の胸に埋めた。




「…麗?」




恥ずかしくて、顔なんか上げられないよ…
今はどうしても篤人の顔を見れない。





「具合でも悪いのか?」




篤人は心配そうに尋ねる。
…ごめんね、具合なんて全然悪くないのに。
でも、まだこのまま居させて…