「で、でもそういう女子って男子は嫌なんじゃないの?」
「他の奴のことは知らねぇけど、俺は少なくともそういう自然なお前が好きだから」
「篤人、あたしね…」
今がチャンスだと思った。
今、あたしの気持ちを伝えなきゃもうこんな機会ないかもしれない。
ここで、好きって言おう。
ダメでも後悔はしない。
あたしの本当の気持ちを知って欲しい。
「…ん?」
篤人は真剣な眼差しであたしを見る。
…言わなきゃ。
…言わなきゃ!
「あたし、篤人のこと…」
…言わなきゃって分かってはいるものの、今の関係が壊れてしまいそうで怖い。
篤人とはギクシャクした関係になりたくない。
「…ごめん」
あたしは、言えなかった。
ただ、“好き”という二文字が言えなかった。
言えなかった自分への苛立ちと、
言わなかったことに対する安堵の気持ちが重なった。
そして、気づいたら涙を流していた。
「…麗⁉︎」
急に泣き出したあたしに驚く篤人。
そりゃそうだよね。
…ごめんね、篤人。
でも、何故か止まらないの。

