「…わ、悪ぃ」
篤人は顔を逸らして、起き上がった。
…やっぱり、あたしだけなのかな。
「…ううん」
あたしも起き上がった。
また風が吹いた。
「…お前も、大人になったよな」
「…えっ?そうかな?」
篤人の方を見ると、少し顔が赤くなっているのが分かった。
「香水とか、つけてんの?」
「…いや、つけてないよ?」
「そうなんだ?」
「…どうかしたの?」
「…いや、お前からいい匂いしたから」
「…へっ⁉︎」
…もしかして、今の風であたしの匂いが⁉︎
でも、香水つけてないから…
シャンプー⁉︎
…もっと良いシャンプーにしておけばよかった。
「…嗅ぐつもりはなかったんだけど。…キモいよな」
「…そんなことないよ!でも、あたしいつもシャンプーとか安いやつ選ぶし、全然女子力ないし…」
…って、あたし何言っちゃってんの⁉︎
完全に嫌われた…
そんなやつと今まで一緒に居たんだって思ったら落胆しちゃうよ…
絶対笑われる…
「…そういうとこ、俺好きだよ」
…えっ⁉︎
い、今好きって言った⁉︎

