「…でも、よかった」
「…何が?」
「…篤人はもう、あたしと帰るの嫌がると思ってたから」
「なんだそれ。なんで嫌なんだよ」
「篤人、大人になったから」
「…大人になっても、お前は俺にとって大事な存在だから」
「…えっ?」
…大事な存在って、たぶん幼馴染みとしてってことだよね?
「…あたしも、篤人のこと大事だよ。幼馴染みとして」
「…幼馴染み、か」
「…うん」
…あたし、なんか変なこと言ったかな?
「…なぁ、あそこ行かね?」
「…あそこ?」
「ガキの頃とかよく遊んでたとこ」
「…あぁ!行きたい!」
篤人はあたしの隣の家に住んでいる。
家から近くて、子供の頃はよくそこで遊んだりした。
川が近い芝生の生えた土手で、天気の良いときは最高な場所だった。

