叩くフリをすると良子はごめんごめん、と笑いながら避けた。

その時、チャイムが鳴った。

「あー次数学か…」

良子が顔をしかめて背を向ける。

しかしすぐにこちらを振り返った。

「なに?」

「夏菜、告白しなさいよ?」

「もう、余計なお世話…」

「もし転校生が美女だったら、圭介なんてスッと取られちゃうかもよ?」

「…っ…早く帰れっ」

「はいはい。」

良子は笑いながら自分の席に戻っていった。

「ほんと、良子の奴…」

冗談だとわかっていてもやっぱり怖い。

(告白…かぁ…)