相変わらずクールな良子に、私はため息をつきながらも、やっぱりこういうとこがすきだな、と思う。
良子とは幼稚園から、もっと言えば、生まれた病院から一緒だった。
誕生日は1日違い。
最初はそんなに話す仲ではなかったし、良子は外で遊ぶのが苦手(焼けたくないらしい)だったから、男子に交じって遊んでいた私とは全然接点がなかった。
でも小学校高学年くらいから話すようになって、クールな面もありながらやさしい彼女とは一気に仲良くなった。
「ねえ、良子は話さなくてもいいの?」
「ん?ああ、ま、後で話す機会もあるだろうし。それに…」
「?」
「ううん、なんでもない。」
良子は私から目を逸らすと、肩ごしに彼女を見てから私にもう一度向き直った。
「こっち見てる。」
「えっ?」
振り返ると、芹沢さんがちらちらとこちらを見ていた。
「…なんだろ?」
「さあ、仲良くなりたいんじゃない?」
良子はそっけなく答えると、授業始まるよ、と私を追い払った。
良子の予想が当たったのかどうなのか、放課後また肩を叩かれ振り返ると芹沢さんが立っていた。
「ねえ、学校案内してほしいんだけど…お願いしてもいい?」
ちょっとうつむき加減で芹沢さんが私を上目づかいに見た。
(かわいいなあ)
きっとこんな目で見つめられたら完全ノックアウトだろう。
断れるはずがない。
そして私ももちろんそのうちの一人だった。
「いいよ!」
勢いよく答えると、彼女はぱあっと顔を上げて笑顔になった。
「おーい、夏菜!今日さー…」
「あ、圭吾。」
突然教室に圭吾の声が響き、私が顔を向けると、芹沢さんもそれに従った。
