キミを独り占めしたい。


「へ~~じゃあ、その子が転校生か。」

「うん、まあまだわかんないけどね。」

「こんな田舎に見たことない子なら転校生だと思うよ。それに女だったんでしょ?」

「え、奏多、転校生が女って知ってたの?」

ポテチに手を伸ばした奏多がうなづく。

後ろではシバと圭介が新しいゲームに夢中になっていた。

奏多がずり落ちたメガネを上げながら、もぐもぐと口を動かし語句っと飲み込む。


「どんな子だった?」

「えっと、色白でね、なんかすっごいきれいな子だった!ね、圭介。」

話を振られた圭介は小さく首を傾げながら、くそっ!っといってコントローラーをポンッと放った。

「また負けたーーゲームの最中に話しかけんなっつうのーー」

こちらにむかってきてポテチを口に放り込む彼の様子を見ていると、なんだか本当に子ザルみたいだ。

「で、圭介の感想は?」

「ん~~~~」

奏多がちらりとこちらを見るのがわかる。

私もちょっと圭介の思ったことが気になっていた。

だってあんなに見つめて…


「なんか、ひ弱そーだった。」

「…は?」

「なんつーか、ヨワソーだったんだもん、あいつぜってー外で遊んだことねーよ、温室育ちってやつ??田舎だっつって馬鹿にしてそーー」

「お前なぁ…」

あきれた奏多の言葉に私もため息をつきながら、内心ちょっとほっとしていた。


「えーーいいじゃん、温室育ち!!俺、友達なりてえ~~~」

隣で聞いていたシバがにやにやしながら体をくねらす。

「ちょ、シバキモイ。」

「お前はもっと痩せてからそういうこと言えよな。」

私と圭介のからかいの言葉に、シバはえーーーっと声を上げながらぷくぷくした指についたポテチの塩をぺろりと舐めた。