キミを独り占めしたい。


近所のスーパーについて、私たちは飲み物とお菓子をかごにつめレジに向かった。

前を歩く圭介の背中はやっぱり広い。

ふとそんなことを思いながら携帯の通知音に気づいて開くと、シバからラインが来ていた。

「あっ、ねえシバがポテチは薄味がいいって…ぶっ!!」

いきなり立ち止まった圭介の背中に勢いよくぶつかり、携帯から顔を上げた。

「ちょっと!いきなり立ち止まんないでよ!」

「…」

怒る私の声にも無反応な圭介の隣に回り込み、ぼーっとみつめる先に私も目をやる。

「もう…何見て…」

「あの子…」

彼の目の先にはうっすらと茶色い長い髪を巻いた、すらりとした女の子がいた。

色白で、大きな瞳はやさしげなのになんだか儚さも感じさせる…

「きれいな子…」

思わず口から出た一言、これが本当に一番の感想だった。

「新しい子かな?」

圭介の言葉に、私は良子の言っていた転校生を思い出した。

「そうかも。良子が転校生来るって言ってた。」

「ふーーん。」

ふと私たちの目線に気づいたのか、その子がこちらを振り向いた。

そしてにこりと微笑むと母親らしき女の人と一緒にスーパーを出ていった。

「女の子だったんだね、転校生。」

「っち、男だったら仲間に入れてやったのによお~」

圭介はそういうと、さっさとレジに向かった。