照りつける日差しの中、ゆっくりと自転車が走り出す。
圭介の肩に乗せた手がじっとりと汗ばんだ。
「お、お前、太った?」
自転車を漕ぎながら、圭介がわざと苦しげな声を上げる。
「太ってないわよ!いいから前向いてさっさと漕げー!」
私が叫ぶと、はいはい怖いババアだな〜と笑った。
下り坂に差し掛かり、徐々にスピードが上がっていく。
風にたなびいた私の短い髪が少し顔にかかった。
右手でかき上げると圭介がチラリと私を見上げる。
「夏菜、髪伸ばさねぇの?」
「ん〜?…うん、暑いしね。」
風が気持ちいい。
汗ばんだ背中が風で冷んやりとしていく。
