「夏菜!」
裏門を出ると、自転車を回してきた圭介が小走りで近寄ってきた。
「乗れよ。」
そしてそう言って跨ると、なかなか乗らない私を振り返って首を傾げた。
「早く行くぞ!」
「だって〜…」
それでも私がウジウジしていると、大きく溜息をついた。
「昔はスッと乗って来たのによぉ。お前が重いのはわかってんだから、気にすんなって!」
「お、重くないしっ!」
挑発してくる圭介。
わかっていながらも、それに乗ってしまうのが私のバカなところだ。
すぐに慣れたその自転車の後ろに立ち乗りすると、圭介がニカっと笑った。
「お前相変わらずばかだな!」
「う、うるさいわねっ!」
