嫌いなアイツ



先輩は少し遠くの方を見つめながら、そっかぁ…と呟いた


今この人は何を考えてるんだろう…


私の顔を見れば分かるって先輩は言うけど、私には先輩の顔を見ても全く分からないんだよなぁ…


『さっきカフェで私は顔に出やすいって言ったの覚えてますか?』

「もちろん、覚えてるよ」

『先輩は全く出ないですよね。それは出さないようにしてるんですか?それとも元々出にくいんですか?』

「うーん。そんな事聞かれたことがないから考えたことなかったかな。でもどっちかと言えば元々出にくいと思うよ。でも、どうしてそんな事を聞くの?」


そう答えながら不思議そうに私の顔を見る


『だって先輩、時々遠くの方を見ながら考え事してるじゃないですか。でも、何を考えてるのか全く私には分からなかったので』

「そうだったんだね。ごめんね、瑠璃ちゃんと一緒にいるのに考え事しちゃって。」

『別に謝ってほしいとか私だけを見てほしいとか全く思ってないんですけど、何を考えてるのかちょっと気になったので』

「そこまでハッキリ言うのも瑠璃ちゃんくらいだよね…。まぁ別に大したこと考えてないよ」


先輩はそう言い、結局何を考えていたのか教えてくれることはなかった