嫌いなアイツ


それから私の分まで払おうとする先輩に無理やりお金を渡し、お会計を済ませお店を出たのはちょうど5時になった頃だった


「俺が払うのに」


そう言いながらさっき無理やり渡したお金を返そうとしてくる


『"彼氏"ならわかりますけど、"友達"ならちゃんと分けるって決めてるんで』


私もそう言いながらそのお金を押し戻す


「瑠璃ちゃんはきっちりしてるよね。こういう時は甘えちゃえばいいのに」


先輩は諦めたのか渡したお金を財布に入れ、バックにしまい、じゃあ行こうかと私に声をかけ歩き出した


「今まで断られたこと一度も無いのに…本当に瑠璃ちゃんといると初めての経験ばかりで楽しいよ」

『私はこれが普通だと思いますけどね。先輩もそんなことしてるから女の子に余計モテるんでしょうね』

「俺も女の子にはお金を出させないのが普通だと思ってたんだけど、瑠璃ちゃんは違うんだね。覚えておくよ」

『まぁ、付き合ってるならあり得るかもしれないですけど、当たり前のように払ってもらうのも違うと思うんですよね』

「そういうものかなぁ…」

『そういうものです。先輩は優しすぎるんですよ』