バーベラ・・・魅了された男達

「10歳から一人暮らしですか……」

「いえ、一人暮らしを始めたのは8歳からです。両親が交通事故で一度に亡くなったみたいで……お金には困らなかったみたいなんですが、葬式が終わった後に瑠奈を誰が引き取るかで親戚で揉めたそうで……
こんなに揉めるなら私1人でいいって言ったみたいです」

「………まさか、そんな事って……」

「私も話しを聞いた時は驚きました。たった8歳の女の子1人で揉めるのかと……
それから、瑠奈は大人は怖い人達だと認識したみたいで……
初めて出会った警察でも、目に光はなかったんです。
とりあえず、家に連れて返って一緒にご飯を食べる事にしたんです。
ですが、その時にも問題が起こって……」

「問題ですか？」

「結城さんも、瑠奈と一緒に暮らされてたんですよね？」

「そうです」

「その時も、食が細くなかったですか？」

「………細かったですな」

「出会った頃はもっと細くて……食べれないという表現が正しいかも知れません」

「食べれない……」

「8歳の子が大人の監視なく問題なく育つとは思えないですよね……ましてや、両親を一度に亡くして、心は不安定だったと思います。
そんな子が一番に手放したものは食欲でした。お腹が空いたという感覚が麻痺してしまったんでしょうね……」