「警察から連絡を受けて直ぐに駆けつけたんです。その時、まだるーは警察で手続きを受けてて、直接お礼を言う事が出来たんです。
でも、るーはこの時、瞳に光がなくて……
誰の事も拒絶する感じでした」

そんな瑠奈が、わざわざ財布を拾ったからと警察に届けると言う行動をとった事は奇跡としか言いようがないな……

「財布を拾ってくれたお礼をるーに言うと、驚いた顔をしていて、『おじさんのお財布だったんだね。ちゃんと持って帰らないとダメだよ』と、まだ10歳だったるーに説教されたんです」

瑠奈らしい……


「保護者の方にもお礼をと思って、るーに確認すると、まさかの言葉が返ってきたんじゃ」

『保護者の人と一緒に来てくれたのかな?お礼を言いたいんだが……』
『保護者なんて私にはいないよ。親戚のみんな私の事疎ましいみたいだから……だから、今はいない』

「その時のるーの寂しそうな顔は今でも忘れられないですな……それで、送るという口実で一度家に連れて帰ったんじゃ」

だから、家に瑠奈が居たんだな。