「ひび……少しだけ奥に居てもいい?」
あの人達の視界に入るのが、辛くなってきた。
「あぁ、いいよ……瑠奈、大丈夫か?」
「………うん。大丈夫、心配しないで」
疑うような視線を向けられると、小さい頃に、向けられた視線と被ってしまって、気分が悪くなることが多い。
その緩和方法として、部屋の隅に蹲って、全ての音をシャットダウンするのが、私のやり方……
でも今日は、その視線を間近で浴びすぎた……
いつものやり方で治まるかな……
とりあえずやってみるしかないか……
キッチンの奥、角の壁に身体を凭れさせる。
「っっはぁ……」
吐く息が震えているのが分かる。
ズルズルと身体を下げていけば、いつもの姿勢が出来上がる。
大丈夫、彼等は関係ない……
この暗示が私には必要だった。