バーベラ・・・魅了された男達

お絞りとお水を用意して裏から出て来ると、まだ最後に来た人が立ったままだった。


「あの………席に座って下さいね」

声を掛けると、


「お前、瑠奈?」

「へ?」

間抜けな声が出てしまった。

初対面なハズなのにどうして?


「さっきバスで会っただろ?樹だよ」

ん?樹……さっき聞いた気がする。

「…………あぁ。バス停で話した人。
どうしてここに?」

「それは俺の台詞。
瑠奈、この街初めてって言ってたじゃん。なのに、何でここ…」

それは私も聞きたい。

「私も分からない……
きっとひびに呼ばれたんだよ。ね?」

「ひび?それって響さんの事なのか?」

「ん?そうだけど…」

「瑠奈ぐらいだよ…………響さんの事、ひびなんて呼ぶの」