俺の中でうずくまる彼女から
出た名前は
雅人。
俺の知らない
葵ちゃんの大切な人。
誰?
葵ちゃんを俺のベッドに寝かせて
看病をしながら
この疑問だけが
俺の頭を永遠に駆け巡っていた。
「雅人..雅人...」
時折この雅人って人を呼ぶ
葵ちゃんの声を聞いて
胸が苦しくなった。
でも。
君は幸せ?
どうして
そんなにも涙を流しながら
今にも消えてしまいそうな声で
大切な人の名前を呼ぶの??
辛いなら
苦しいなら
葵ちゃんを泣かせるやつなんかより
俺がずっと側にいるから。
だから
もう泣かないで。
その夜は
一晩中手を握りながら
眠りについた。

