「松木?」

私が松木の問題を解いている間、松木は携帯でゲームをしていた。

ったく、人に頼んでおいて。

…やんなくていいのに、私も。

「あ?できたか?」

「√13?」

「おう、そうそう。どうやった?」

ほんとに聞いてんのか、顔は画面を向いたまま。

聞く気ないんなら、言わないし。

そう思って、黙っていた。

「早く言えよ」

「聞いてないんなら言わない」

「聞いてっから」

「じゃあ携帯置いたら?」

ほんっと、やんなっちゃう。

人って。人間って、ほんと…。

なんでもないや。

「はい。んで?」

しょうがない、みたいな顔して松木は乱暴に携帯を置いて、私に向く。

聞く気になったんなら、もうとやかく言う必要はない

「んとね、まず…」

私は解説を始めた。