私を惚れさせて。私の虜になって。

「兄ちゃんと、別れんなよ!」


ぐいっと体ごと責められた。


松木みたい。


「…わかんないね」


だって、私は、


「はぁ!?ダメだよ!俺が許さねぇぞ!ひでぇよ」


もう、ここからいなくなるんだよ。


「しょうがないんだよ」


ここから、って言うのは、もっとおっきいスケールの話。


松木の家からとか、最寄りが変わるとか、


そんなちっぽけな話じゃない。


「私ね、冗談じゃないぐらい遠くに行くんだよ。明日から。1駅2駅変わるとかそんな話じゃないの。
あきくんさ、大好きな彼女いて、もし自分が病気にでもなっちゃったら、どうする?」


こんなの、するべきじゃない。


重たい話だけ残して、私はどうしたい?



「…すがちゃん!」


バンっと、乱暴にドアが開く。


松木の顔は凄く怖かった。


「あき!話はもうないな!?」


「ねぇ。ガンバ」


「すがちゃん来い!」


腕を引かれて、松木の部屋に入る。


全然優しくない。腕が、痛い。