私を惚れさせて。私の虜になって。

「おい!勉強教えろ!!」


手を洗って、食卓に座らせてもらって、


大きなお盆で、ご飯が来るはずだった。


そんな、松木のお母さんを、あきくんが遮る。


「えー、俺?すがちゃんに聞くのが得策だと思うぞ」


「無理無理。人の女に手は出さない主義」


「ばかか!」



松木が小さくあきくんにゲンコツをする。


「えー、じゃあ、教えて?」


コソコソっと、私の横にきた。


「どこ?」


「ここ!」


「鉛筆、借りてもいい?」


「お兄ちゃん、いい……?」


「別にいいからいちいち俺に聞かなくて」


「ダメな兄貴だ。まったくもう」


ぶつぶつと言いながら、鉛筆を貸してくれた。


すごく、懐かしい触り心地。