私を惚れさせて。私の虜になって。

「歩ける?」

「…うん」

恐る恐る腕が外されて、

今度は手を握られて、どこかに連れて行かれる。

駅の入り口のベンチに腰掛けた。

私を、2人が挟んで座る。

「お母さん、いた?」

「…いた…、よ」

「そっか。良かった」

逢えないより、マシだったんだ。

「…でも、ね」

私は、本気で嫌われてたんだ。

「また、殴られ…たよ…。パーで」

「…そっか」

2人には、関係ないのに。

困るだけのはずなのに。

「死ねって……言われたよ」

こんなやつ。

「俺、殴ってきたい」

そんなことを言う松木は、言葉とは裏腹に優しく手を握ってくれてる。

「やっぱ、お尋ね者だったんだよ」

私なんか。

いてもいなくても、どうでもよかったんだ。