私を惚れさせて。私の虜になって。

「へぇ」

情けない声しか出ない。

「もー、しょうがないな」

私の分のはずのおにぎりのラップをはずす。

「ほれ」

松木が持ったまま、おにぎりが私の口元に来る。

「何」

「あーん」

私を覗き込んでそんなことを言った。

「……」

私はそっぽを向く。

「おい」

私の頰に触って、前を向かせる。

「食え。ちょっとでいい」

ずんっ、とおにぎりを突きつける。

もちろん、あーん状態だ。