私を惚れさせて。私の虜になって。

不安に包まれた空間で、体育館は近づいてくるけれど。

だからって、何も変わる訳じゃない。

「あ、ついた…」

見学会で見た、派手な色の屋根が見えた。

「まー?」

「…」

まーくんの返事が聞こえなくなった。

「え、はぐれちゃった?」

「やべぇな…。止まるわけにもいかないし…」

強い流れは、逆らえそうにない。

どんどん離れていっているかもしれない。

「え、どうしよう。まーくん…」

握っている手を自然と強めた。

「大丈夫だろ。そのうち追い付く」

「だといいけど…」