そこからのことはよく覚えている。 忘れるはずがない。 いや、忘れられるはずがない。 その電話を受けた母さんはひどく同様し、俺を連れて急いであるところへ向かった。 着いたのは、病院だった。 ある部屋に通されると、そこには青白い父さんが横たわっていた。 それを見た母さんは隣で泣き崩れた。 幼心に状況が分かったのか、俺は涙を流さないようこらえて、母さんの手を必死に握っていたのを鮮明に覚えている。 それからは淡々と事が進み、俺と母さんは日本に帰ってきた。