結芽side

翌日

学校に行ってすぐ、自分の席まで猛ダッシュして高木君を見る。

「…おはよ、佐久良」

まだ数人しか来ていない教室に、高木君の声が響き渡る。

「高木君…これ…どういうことなの?」

私はそう言って自分の喉元を指差す。

「こんなことっ…なんでしたのっ…?」

私がそう言うと、高木君は静かに本を閉じて私を見た。

「…好きだから」

「……え?」

思考が止まる。

だ、だって…今…

混乱している私に、高木君は更に言葉を紡ぐ。

「…好きだから、風雅に渡したくなかった」

高木君はそう言って私を見た。