said梨依華

翌日。
「おっはよ~」
「おはよ~」
今日から、恵美里と一緒に登校!
今日もワクワクドキドキです。
とっても、とぉぉぉっても楽しみな学
校生活なので~す~が~……1つ心配事
が……。
昨日の入学式で、うち堺斗の偽りの彼
女になりました!
……誰か嘘だと言ってくれぇぇえ!!
梨依華は、自分の頬をつまむ。
い、痛い!
あれは、夢ではなかったのかぁぁ
あ!!!!涙
うん?
なぜ断らなかったかって?
1つ、断れる感じじゃなかったから。
2つ、拒否権がないと言われたから。
3つ、あんな有名人を怒らせたらなに
がおこるかわかんないから。
4つ、同じ陸上をやってる人だし、本
当に申し訳ないと思ったから。
以上これが理由!!
3つ目、これが怖かったんですよ~涙
「恵美里ぃぃ~」
梨依華は、恵美里に抱きついた。
「うおっ!どうしたん!?」
「恵美里ぃぃいい……な、なんでもない
です……」
「なんでもないんかい!!」
梨依華は、苦笑いをした。
なんでもないことないんですよぉ。
昨日のこと恵美里に言ってないんで
す……。
いや、言えんかった。
言ったらダメな感じでした。
『俺たちがカレカノになったこと恵美
里さんに言ったら許さねぇよ?俺たち
だけのヒ・ミ・ツだからな。もし、秘
密をバラしたらお仕置きな!』
って言われたんですよ!!
こんなん言われたら言えんでしょうがぁ!!!
トホホ……。
なんでこうなるんや……。
ーキーンコーンカーンコーン
「やばっ!予鈴なってる!はよ行かな
遅刻や。どうしよ、梨依華」
これは、走るしかない。
猛ダッシュや。
「恵美里、うちの手握って。絶対離し
ちゃダメだよ」
「うん」
梨依華は、恵美里を引っ張りながら
走った。
「はぁはぁ、ギリセーフ」
「はぁはぁはぁはぁ、ま、間に合っ
たぁ~ありがと梨依華。さすが陸上
やってるだけあるね。すんごい速かっ
たわ」
「いえいえ、速くないよ!も~はよ教
室行こ!」
「おん!!」
ーガラガラガラ
「あっ、おはよ~」
「おっは~奏乃(かなの)」
彼女は、奏乃。
昨日いろいろ話した結果、陸部に入部
することが判明し、意気投合しまし
た。
うちと同じ短距離専門らしくて、うち
的に一番のライバルになる予感!
「今日からさぁ、体験入部あるじゃ
ん。一緒に行こうよ!ダメ?」
奏乃は、うるうる目で梨依華を見た。 その顔ダメだよ~。
まぁ、もともと断る気ないけどっ!
「オッケー!一緒にい……」
「ダメだよ~奏乃さん」
こ、この声は、うちの心配事をつくっ
た人物……堺斗の声だ!
「か、かっかか、か、堺斗く
ん!!!」
むっちゃかんでるよ、奏乃が。
ほほ~ん。
もしかして、堺斗が好きなのかなぁ?
ちょっと顔赤いし……奏乃は、堺斗のこ
とが好き!!
これ女の勘!
女の勘は、あたるんだから。
「梨依華と体験入部行くの俺だから」
……はっ!?
うちは、奏乃と行くんですけど!!
堺斗と行くとか約束した覚えないんす
けど。
「え……?」
ほら。
奏乃の頭ハテナになってんじゃんか!
「堺斗、アンタなにいってんのよ!う
ちは、奏乃と行くの!!」
「はぁ……」
な、なんですかそのため息は!?
「俺たち、仮にもカレカノじゃん!普
通くっついたりとか一緒に行動したり
とかしねぇとおかしいじゃねぇかよ」
あっ!
確かに……はぁ……。
「うん、そうやね」ほんまは、奏乃と行きたいのに~。
くそぉ~!
「ごめんね奏乃。うち、堺斗と体験入
部行くわ」
うわぁぁぁん涙
「えっあ、えっ?う、うん……えっ
とぉ、2人は付き合ってるの?」
ギクッ!
「そうだよ。俺たち付き合ってる」
うわぁお!
あっさり言うな……コイツ。
「きゃぁぁぁぁいやぁぁぁぁ」
「嘘っ!!嘘だと言って堺斗くん!」
そこらじゅうから、絶叫がきこえる。
泣いてる人もいるじゃん……。
大丈夫だよ。
そこの人。
うちは、偽りの彼女ですから!
今すぐ、この事実を暴露したいんだけ
ど、言えないんです。
ごめんなさい!!
一時間目の授業が始まる音がなり、梨依華たちは席についた。
チラッ!
キッ!!
さっきからいろんな人に睨まれてるん
ですけどぉ……。
なんか悪いことした?
……してるか、イケメンの陸上のプリン
スと付き合ってる。
これだけでうちは、睨まれんのかよ。
「なぁ、堺斗」
「うん?なに?」
「アンタのせいでうち、クラスの女子
から睨まれてる」
梨依華は、隣の席の堺斗に話かけた。
「大丈夫や。気にしいひんかったらえ
えねん」
「そんなことできんし。それに、うち
がいじめられたらどうすんのよ!」
女子のいじめって怖いんやで!
受けたことないから、ほんまか知らん
けどさ。
よくきくやん。
女子のいじめは、陰湿で怖いって。
「そんときは、俺が守ってやるよ!お
前、俺の彼女だし。彼女守るのは、彼
氏としと当然のことだしな!」
キュン。
なによその笑顔。
なによその台詞。
ドキドキ。
うちの心臓うるさい……。
もしかして……うち、堺斗のこと好き?
ないないない!!
そんなわけない!
梨依華は、自分が真っ赤になってるこ
とに気付き、そっぽをむいた。
うちらは、付き合ってるけど偽りの恋
人同士。
愛なんてないもん。
すべてが偽り。
ズキンッ。
梨依華の心は悲しい心音をたてた。