said梨依華

「……きろ……」
「……起きろ……」
「う~ん……」
うん?
なんか声する……。
お母さんかな?
「……おかぁさぁ~ん、まだ寝か
せ……す~……」
「おいっ!俺はお前の母さんじゃねぇ
よ!!」
「ふぇぇ!!!!!!?」
え!?
お母さんじゃない!?
じゃぁ誰!?
「はぁ……やっと起きたぜ」
あっ、男の子の声だ。
「あっえっと、起こしてくれてありが
とうごじゃ、ございますっ!」
かんじゃったぁぁぁ!!
うち、戸惑いすぎ。
梨依華の顔は、どんどん赤く染まっていく。
「くっくっく」
笑われた。
ガーン……。
「な、なんですか?うち、なんかしま
した?」
「いや、こんな体制で恥ずかしくない
んだなぁって思ってさ」
えっ?
体制……うわあぁぁぁぁぁあ!!!!!
!!!!
うち、この男の子の膝の上で寝てい
た……!?
嘘だ!
嘘だ嘘だ!!
で、でも目の前に見えているこのズボ
ン、確かに制服のズボン……。
嘘じゃない、マジだ。
終わったな。
うち、終わった……。
「あのさぁ、そろそろ俺の膝からどい
てくれる?おもてぇから」
「はいぃ!すみましぇ……せん」
また、かんだぁぁぁ涙
この人の顔みれない。
絶対!!
見るなんて無理!!
梨依華は、うつむきながら上体を起こ
した。
「謝る前にさぁ、顔あげろよ」
「うっ、はい」
この人……知ってる。誰だっけな?
……あっ!
わかった!!
さっき恵美里と話してた堺斗くんだ。
「本当にごめんなさい……」
「いいよいいよ。そんな謝んなくて
も。許してやるよ」
「その言葉本当ですか!?信じちゃいますよ!よかったぁ……」
許してくれてありがとうございま
す!!
梨依華は、ふぅ~っと息をはいた。
「って言うわけないじゃん。許すわ
けないじゃんバ~カ」
「う、嘘でしょ……!それに、うちバカ
じゃないし……」
「バカでしょ。この俺が許すわけねぇ
じゃん?俺の足は大事なんだから
よ!まぁ、俺のいうこときけば許して
やらねぇこともねぇよ?」
そうだよねぇ……。
陸上やってるからうちにも分かる。
陸上選手にとって足は大事だってこ
と……。
でも、堺斗くんの『いうこと』をきけ
ば許してくれるんだよね?
「えっと、『いうこと』って何です
か?」
「う~んそうだなぁ~。んじゃ、俺の
偽りの彼女になること」
「えぇぇええ!!!!!!!!!?」
なにいってんのこの人!?
「ちょってめぇ、声でけぇよ!」 「はっ!す、すみません……。で、なん
で、そのぉ、うちを偽りの彼女にする
んですか?」
「そんなん理由は、ただ1つ。俺への
告白をなくすため!俺さ、モテるから
告白とかしょっちゅうされんだよ
ね~。正直いってめんどいんだよね」
それさ、自慢じゃん。
まぁ、そっか運動神経抜群でイケメン
だったらモテるもんなぁ~。
モテないわけがない!
性格、ちょっと悪い気がするけど。
「なぜうちなんですか?」
「う~んなんとなく?しいて言うな
ら、バカそうだからかな?ww」
そんな理由嬉しくな~い涙
バカそうとかやっぱ性格悪いよこの
人。
「そんで、どうすんの?俺の『いうこ
と』きくか?まぁ、あんたに拒否権
ねぇけどな。江藤 梨依華」
あはははは。うちに拒否権ないんかい!
そして、なんでうちの名前知ってるね
ん!
まぁ、今その疑問はいっか。
うぅまぁ、偽りの彼女くらい別にいっ
か。
偽りなんだし。
キスとかする必要ないだろうしね。
「いいですよ。うち、偽りの彼女にな
ります」
仕方ないじゃん!許してもらう方法がこれしかないんだ
もん。
ぐすんっ。
他に方法あるなら誰か教えてよ!
「え!?マジで!?やったぁ!!」
キュン……。
なにその笑顔、反則なんですけど。
ってうち、なにトキメイてんだよ!
アホッ!!
「俺のこと堺斗って呼び捨てで呼べ
よ……。俺の彼女なんだから」
耳元で囁かれ、赤くなる梨依華。
堺斗く……堺斗、なんかエロいし俺様な
んですけど……。