五日後

慶喜との話し合いのため
優太が留守にすると
近藤派に知らせがあった

芹沢を守るように
片時も芹沢を一人にしなかった優太が
留守中に暗殺する計画

土方 山南 沖田 原田 の四名で実行

他の者は、バレないように誤魔化す

宴会を開き、芹沢にさんざん酒を飲ませた

芹沢が八木邸に戻ったのを確認し

平山を暗殺



次に芹沢…のはずが、お梅がいた

「やるしかねぇ」

土方の言葉に沖田は刀を構え直す



「儂をやるのは、お前たちではない」


「は!? 誰だってんだ? あぁ?」


「こい」

シュッ


天井から降りて来たのは、優太だった


「よおきてくれたなぁ」



梅は、愛おしく優太を抱きしめる
芹沢は、優しく優太の頭を撫でる

「約束だからね」

俯いたまま、低く言う



「はじめて声きいたわぁ!」

喜ぶお梅


「これは、儂からお主に」
「これは、うちからや」


突然、二人から贈り物を貰う

これから、斬るのに…


優太が顔を上げる

「顔を見せてくれぬか?」

優しく芹沢が言う

優太は、覆面をとる…

背後にいる、土方や沖田には
綺麗な黒髪しか見えない

二人は黙って、三人のやり取りを
見守っていた

丁度、山南と原田が駆けつけた


「かわっておらんな」
「そうかな?」

「隠したら、もったいないえ?」
「いいんですよ」

「新選組に入るなよ!
慶喜様のところへ戻れ!
これは儂の遺言じゃ」

「どちらもないですね ははっ」




しばらく会話した後

二人に抱きつく優太

「次の世では…
二人の本当の子供にしてくださいね」


「もちろんや!」 「楽しみじゃな」


二人から離れ、笑顔を見せて
覆面をかぶり直す


「また…会える日まで…さよなら」


優太は、苦無で同時に二人を殺した

二人は手を繋ぎ、苦しむことなく逝った


倒れた二人を見下ろしたままの優太に


「おめぇ…  なんで?」

土方が声をかける



「新選組の為なら、何でもしますよ?」


無表情で、冷たい目の優太が振り返る


そこにいた四人の背筋が凍るほど



冷たかった




「お互い、見つかる前に戻りましょう」



優太があっという間にいなくなった