「みようよ!ね?」

セツさんは俯いた…

そんなに具合が悪いのに
無理してまつりに……


「大丈夫?」

「うち、まつり初めてやねん
慶喜は、まつり来たことないって
今日のこと自慢する!」

話、反らさないでよ

「慶喜に泣かれたんや……」


また俯く  だから、元気ないんだね


「死なないでって……

実は、側室やったのに
一度しか体を許してないねん

ひどいやろ?

いっぱい我が儘きいてもろて
優菜を消したいって言った時も
協力してくれて
なのに…何も返せてないんや……」

「私は、なんとなく慶喜様の気持ちが
わかります。そばにいてくれる
元気に笑ってくれるだけで
それだけで良いんですよ!
慶喜様が羨ましいな」


「慶喜は、総司さんが羨ましいって…」

「ぷっ!皆、ない物ねだりだね!」

「うふふっほんまやね」


笑ってたら、皆がきた


「セツ!向こうむけ!」

「なん?」

セツさんが首を傾げる


ヒューン……ババーーン!!!


「ひにゃーー!!!!」


変な叫び……
セツさんが永倉君にしがみつく……
ムムムムム!!


「大丈夫だから、見てみろ!」

「うわぁ!綺麗や!めっちゃ綺麗やん!」

「花火初めて?」

「平助さん!凄いね!一さん見てみて!」


大はしゃぎ!!


「来年も、皆で来るか!」

土方さん…

「さんせーーい!!」「おう!」
「いいなぁ!」「うむ」……

セツさんは、笑ってた
きっと土方さんのこういう所も
好きなんですね

来年……という言葉が、セツさんにとってどれだけ残酷か


いや、新選組もセツさんも
来年という言葉は希望でなければ…


「うち、そろそろ帰るわ!」

「総司、送ってやれ!」

「ええよ!帰れるさかい」

「たまには、土方さんが送りなよ!?」

「ええって!」

「なら、俺が!」 永倉君、やめて!!

「俺が送ろう!」 ほら、一君まで

「俺がいいよな?」 平助、黙ってて

「皆で送るか?」 近藤さん!だめです!土方さんじゃないと!

「あははっ!
送るのは、一人でいいでしょう」

そうです!山南さん!


「うふふっ!おおきに!一人で平気やから!」


「土方さん!!」


「総司、送ってやれって!」


どうして ?
私に遠慮でもしてるつもりですか?


「わかりました!行きましょう!」

「ええのに…」

「月見でもしながら、ゆっくり帰りましょうね-!!」



わざと、やきもち妬くくらい言うけど
土方さんって鈍感なの?

こんなに、言っても身を引くの?

好きな子を自分の手で、幸せにしたくないのかな?



「ほな、皆さん!さよなら!
お元気で!!」


セツさんは、とびきりの笑顔で別れの言葉を言いました


セツさんが今日で消えてしまう
それを知っているのは、土方さんと私だけ



なのに…引き止められない