総司は試衛館に来る前に

セツに会っていた

セツは覚えていた

総司はその時のことは覚えていたが
セツがその時会った〝セツ〟だとは
思っていなかった


迷子で泣いてる女の子に、姉にあげようと思っていた ウサギをあげた

涙は、止まったが言葉を話さない


「名前書いて!」


女の子は地面に


〝 雪 〟



と書いた





それを

「セツ!!いい名前だね!!」

総司がそう言うと、凄く嬉しそうに笑った

「おおきに…」

「へ?」



セツが口に手を当てる

「遠いとこからきたの?」

頷く

「ねぇ!僕、宗次郎!友達になろ?
これからずっと!ね!!」

「うん!!宗次郎くん!!ありがとう!!あっおいちゃん!!」


「セツまたね!!」

「宗次郎くん!またね!!」


それっきり会うことがなかったらしい




きっと、セツの名付け親は総司だ




セツは、総司を特別に思っている

俺が勝手に疑った

俺は嫉妬してたんだろう

最低だな……