「ああ。日本史の授業の時ね。あれは私もちょっと気になってたわ。蝶にしては珍しいって思っていたから。」

杏にも言われ、あたしは少しだけ焦る。

.......あれは......多分......いや、絶対に見間違いだと思う。

夜に限ってあんなの.....あるわけない。

そんな事を一人で悶々と考えていると。

「......蝶.....?大丈夫.....?」

立ち止まったまま動かないあたしを気にかけてか、くるみがあたしに声をかけた。

「.....ああ.....ごめん。大丈夫。」

そう言ってあたしは再び歩き出した。


「.......怒」

「蝶。怒ってもダメだから。ちゃんと教室に戻るのよ。分かった?」

「そうだよ蝶ちゃんっ‼夜くん待ってるんだからっ‼」

学校の校舎から門まで距離があるが、まぁ.....話しながら歩いているとすぐ着いてしまうわけで。

教室に戻らなきゃいけないと考えるとすごく不機嫌になってしまう。

「.......行きたくない.....怒」