そんな事を思いながらそのまま歩いていると。

「蝶」

「.......?」

突然目の前にいる夜があたしの名前を呼んだ。

「.......何」

「そんなに心配しなくても明るいうちに帰れる。お前が全力で頑張れば。」

「..........」

歩きながら言う夜はあたしの表情も見ずに平然としている。

......一応心配されてるの....?あの夜に.....?

あたしも夜と同様に平然を装い、夜に返事をする。

「何言ってるの。あたしは暗くなる前に帰るから。それまでに終わらなかったら夜を置いてでも一人で帰る。」

「お前こそ何言ってるんだ。そんな事させるわけないだろ。言っておくけどちゃんと俺の分と蝶の分とで分けてある。」

”さきにやってた俺の方が圧倒的に終わるの早いけどな。”なんてことをぬかす目の前の男。

「何?じゃあ終わったら先に帰るとでも言いたいの?そんな事絶対に----.....」

「蝶を置いて帰るわけないだろ。」